2013年12月30日月曜日

Vixen A80Mf + Canon EOS M

Vixen A80Mf(屈折型望遠鏡、対物レンズ口径8cm)に、Canon EOS M(ミラーレス一眼)を取り付けて観測してみた。私を含む、多くの初心者がこの組み合わせて天体観測を計画していると思う。今回はこの2つをセレストロンのズームアイピースを介して接続し、拡大撮影を試みてみた。

この組み合わせでよいのは、EOS Mがモニターの役割をしてくれる点だ。大勢で観測しようとするなら、この組み合わせは非常に便利だと思う。しかし、もっとも気になるのは撮影したときの天体写真の品質だろう。

望遠レンズとEOS X4を用いて先日行った木星とガリレオ衛星の観測を、今度は上の組み合わせてで試してみた。

まずは木星。こんな感じになった。
iPhotoでトリミングしたもの。
gimpでの処理はしてない。一発撮りだが、iPhotoでコントラストなどの補正を加えている。縞模様は完全に写っているが、その細部までは確認できない。露出時間を短くしているので、ガリレオ衛星は写ってない。

次に、iso3200, 1/3secで衛星を撮影する。追尾してないので、シャッター速度はなるべく早くし、感度を高めにした。するとこんな感じ。
iso3200, 1/3sec
この時間は、木星と重なっていたエウロパが出て来た直後に対応する。ちゃんと木星とエウロパが分離できている。しかし、望遠レンズで撮影した時のような色の違いは見えてない。

上下の写真を合成したのが次。
gimpを使って、木星とガリレオ衛星を合成したもの。
さすがに拡大撮影のことだけあって、木星の表現はA80Mfの方が望遠レンズよりもずっと優れている。が、衛星の表現が今回は今ひとつな感じがする。これは拡大撮影すると、視野が狭くなるため、地球の自転による天体の移動速度が早くなるためだろう。短い時間しか露出できない上、像が流れるのだ。拡大率とシャッター速度の比を検討する必要があるかもしれない。

まあでも、2年前の観測に比べれば随分進歩したのは確かだが。


バラ星雲に挑戦

Hαで「赤色」に光るバラ星雲の撮影は以前にも挑戦しているが、ことごとく失敗している。通常のCCDの設定でははじいてしまう波長だかららしい。天体写真専用のEOS 60Daならば、あえてその波長を取り込むように設定されていると聞くが、生産終了のため手に入らない。中古もほとんど市場に出ない。手持ちのカメラを改造するしかないが、まだふんぎりがつかない。

とにかく、長時間露光する他無いと、軸合わせがうまくいったこの日、久しぶりに挑戦してみることにした。iso6400, 40sec x 4でどこまでいくかとりあえずまとめてみた。

なんとなーーく、形が浮き上がっているが、はっきりしない。やはり改造するしかないのだろうか?

トリミングしてコントラストを調整。

2013年12月29日日曜日

ぎょしゃ座のM37を再度

しつこくM37を狙う。極軸合わせが結構うまくいったので、60秒の露出を狙ってみた。iso3200. 一発写真のつもりだったが、後で思い直して、熱ノイズ軽減のため、試し撮りの40秒のものを使って、一応コンポジット処理した。結果は次の通り。
M37(iso3200 (60sec + 40 sec) / 2 with gimp).
以前のものより、かなり改善されたと思う。

上の画像をトリミングして、若干コントラストを修正したものがこれ。

EOS Mでビデオを:金星の場合

昨年の師走29日にEOS M + Vixen A80Mf + Celestron Zoom Eyepieceの組み合わせで、金星のビデオ撮影をやってみた。揺らぎに揺らいでいるのがわかる。



ガリレオ衛星の観測の精度を上げる試み

もちろん望遠鏡やレンズの性能を上げればよいのだが、手持ちの機材でどこまで精度を上げることができるかをまずは考えてみた。

まず、前回の観測ではピントさえ合わせればかなりの解像度が期待できることがわかった。さらに、金星の観測から、ライブビューを用いてピントをあわせれば、惑星の形すら見分けることができることもわかった。この2つの成果を組み合わせれば、木星とガリレオ衛星を同時に観測できるはず。

まずは、ライブビューで木星の模様が写るかどうか、焦点合わせに挑戦する。やってみると、iso400, 1/320secのところで、縞が微かに写ることが判明!これで、木星の直径を長さの単位として使うことが可能となった(これはガリレオのやり方と同じ)。
iso400, 1/320secで撮影し、コンピュータで拡大した
木星の写真。縞模様が微かにわかる。
次に、ガリレオ衛星を写すモードに切り替える。焦点はそのままにして、設定を変えていくとiso800, 1/15secのところで衛星が写り始めた!よく見ると、衛星の色が少しずつ違う。ネットの資料で確認してみると、だいたい実際の色と一致していることがわかった。特に、イオの赤い色!
iso800, 1/15secで撮影し、コンピュータで拡大した木星と
ガリレオ衛星の写真。
次は、地球の回転を利用して方向を決め、その分の修正を加えつつ、gimpで上の2枚を合成する。すると最後に次を得る。
完成した木星、ガリレオ衛星の観測写真
イオは赤茶色、エウロパは青緑、ガニメデは白で、カリストは灰色に見える。色の違いを使えば、衛星の軌道の識別にも使えるかもしれない。これはガリレオにはできなかったことだ。

2013年12月23日月曜日

冬至の太陽

冬至の太陽を観測。この日、地球は最も太陽に接近するのかと思ったら、若干ずれるようで1月4日が近日点通過と国立天文台のサイトにはある。

冬至の太陽黒点。回転修正後。

このところ、黒点は比較的たくさん出現している。11年周期の極大期らしくなってきた、と今月の天文ガイドにはあった。太陽の低緯度地帯に集まってきているのは、極大期もそろそろ終わりに近づいたということなのだろう。

冬至の天王星の観測:やはり合っていた。そして留

3週間ぶりの天王星観測。今日の観測で、前回観測した天体が天王星かどうか白黒がつく。まずは今回の観測結果から。

Uranus [Dec. 22, 2013]
斜めに伸びる「三ツ星」が特徴的だ。前回の位置はというと...
Uranus [Dec. 2, 2013]
三ツ星のすぐ脇にあった!つまり、この天体は惑星であることがまずわかる。そして、うお座のこの位置に今ある惑星は天王星だけだ。天王星の観測に成功していたことが、これで証明された。

三週間ぶりとはいえ、海王星の今回の動きに比べれば、移動が少し遅い感じがする。とすると、天王星も留に近いのでは? 天文台のサイトで調べてみると...案の定、12月18日が留であった!つまり、今回の観測は留の直後だったのだ!

ちなみに、金星も冬至の前日に留を迎えていた...


冬至の海王星の観測:留を越えて

10月から始めた海王星の観測。現在のところ、ひと月毎に行って3回目となる。前回の観測でほとんどその位置を変えなかったことから、「さすがに太陽系最遠の天体だけあって視線運動も遅いな」と思っていたのだが、たまたま留の位置にあったことを忘れていたのであった....留は11月14日。1回目と2回目の観測の中日だった。


12月22日、つまり冬至の日に3回目の観測を行って驚いた。思いの外、大きく移動していたのだ。このままひと月毎の観測では位置を見失う恐れもある。ということで、できる限り毎週観測することにした。とはいえ、目立たぬこの天体の観測をやり続けるのは本当に精神的にこたえる...しかし、せっかく位置がわかったのだから、その位置情報はキープしておきたい。
海王星の移動

少し大きめの縮尺
冬至(12月22日)に撮った海王星(左上)の
ベストショット。




冬至の金星: 実は留の翌日

以前、ピント合わせについて考察したが、実はもっと手軽にピントを合わせるよい方法があった...ライブビューを使うのだ。ただし、ライブビューで写る天体はかなり明るい天体に限られるので、必ずしもいつも使える方法ではないかもしれない。しかし、オリオンのトラペジウムがちゃんと3つ写ったので、EOS X4の場合、かなり性能はよいと思う。

まず明るい天体をライブビューに映し、拡大する。EOS X4の場合、5倍と10倍が可能で、天体の大きさによって使い分ける。

今回は金星でやってみた。驚いたことに、5倍の段階で「三日月」状の金星が見えてしまった。ピントを合わせると、このレンズでも「三日月」が写せると知って、思わず感動した。
RAW画像を拡大したもの。
追記:実は金星は、冬至の前日に留を迎えていたのだった...

冬至のM31(アンドロメダ銀河)

久しぶりに極軸合わせがうまくいったので、今までうまく撮影できなかった天体を撮ってみることにした。まずはM31,M32から。

冬至の夕方。すでに暗くなり、月も無く、ペガサスは天頂にあって、街の光も被り難い位置にある。レンズを真上に向けて、今日は2分の露出に挑戦(iso3200)。2枚だけ撮ってgimpでコンポジット処理(平均)した。

冬至のアンドロメダ銀河
今度は1分の露出(iso3200)で4枚撮影し、それをトーナメント式にgimpでコンポジット処理してみた。合計の露出時間は同じはずなのだが、違いが出て来た。

ノイズを減らすのを優先すべきか、それとも淡い部分を引き出すのを優先すべきか?ちょっと迷うが、やっぱり淡い部分が出た方が見栄えがするとの結論。しばらくは「見栄え」で行こう!

追記:一つ発見。bloggerにjpegをアップロードすると、赤っぽい感じに「変色」するようにみえる。なにか圧縮フィルターのようなものでも噛ませているのだろうか?

追記:同じ画像データをpngに変換してからアップロードしてみた。



どうもこちらの方がMacのオリジナルの環境で見た感じに近い状態で表示されるようだ。これからは、pngでアップすることにしよう。

2013年12月7日土曜日

赤色成分を弱くしてみた。

ぎょしゃ座の散開星団3つの赤色ノイズを弱くしてみた。



2013年12月4日水曜日

EOS Mを試す(2)

EOS Mを試す第二段。目標は同じく金星(観測は11月21日)。口径20センチの大きめの反射望遠鏡(追尾装置付き)に取り付けて撮影。リモコンのレリーズを使用してシャッターをきる。コンポジットなしの一発撮りが、次の写真。
三日月状の金星
さすがにシャープな「三日月」状の金星が捉えられた!これなら十分、実用に耐え得る。

2013年12月2日月曜日

天王星の観測:たぶん合ってるはず...

なかなかその姿を捉えられなかった天王星の観測にようやく成功した...と思う。まだ詳細な星図で確認、あるいは移動による惑星であることの確認、はできていないので、100%自信を持って言えないが、その薄い青緑色の輝きからみて「天王星」だと思う。


海王星より移動速度は速いと思うので、2週間後に再度観測し、移動の有無を確かめよう!

もしこれが天王星と確認できれば、これにて太陽系の主な惑星と天体はすべて、つまり、太陽、月、惑星(水、金、火、木、土、天王、海王)が観測できたことになる。彗星も2つ観測できた。あとはアステロイドベルトの小惑星や、冥王星などの準惑星、それに惑星の衛星などが残っている(ガリレオ衛星とタイタン、レアは観測できた)。

ぎょしゃ座の散開星団3つを狙う

ラブジョイ彗星の観測の前に、よく晴れ渡った冬の星座を見ているうちに、ぎょしゃ座にある3つの散開星団の観測を思い立った。M36,M37,M38だ。今まで一気に全てを撮影したことはなかったので、この機会にチャレンジしてみることにした。

見つけやすいのはM36とM38だ。これは御者座の中にある。いつも失敗するのがM37。でも密集具合はM37が一番見事だと思う。今回もM36, M38の順番で見つかり、ちょっと手こずってM37を見つけた。だいたい一列に真っすぐ並んでいるので、2つ見つかれば3つ目は見つけやすいのだ。ただ、ちょっとだけ曲がっているので、その曲がり具合を経験を重ねて把握する必要がある.M36-M38のラインからすると、M37はちょっと左側にある。

M36

M38

M37

だいたいの位置で重ねたもの。
さすがに一発撮りだと、熱電流によるCCDのノイズがひどい。次は、コンポジットできるようにたくさん撮り溜めて処理してみよう。

そういえば、この観測をやっているときに、大きな流星が御者座のやや左側からオリオンの右側にかけて長ーーく飛んだ!色は赤で、燃え尽きながら色が点滅し、かすれながら消えていくのがわかった。これほどの流星を見たのは初めて。こういうのを、火球というのかもしれない。(この火球を撮影した人が居たようで、とても驚いたと同時に感心した。)

2013年12月1日日曜日

昴(M45)の観測

冬の始めになると、あまりにも美しくて、ついついレンズを向けてしまうのが昴(M45)。以前にも似たようなクオリティで撮影したデータが残っているが、今年もまた撮ってしまった...

もう少しガスの感じを強調するにはどうすればいいのだろうか?野辺山辺りまで行かねばならないのだろうか?
iso6400, CD-1 (gimp 60sec x6)
それにしてもここは星が多いなー。どんな世界があるんだろうか?

ヨーロッパでは昴のことをThe Pleiadesという。これはギリシア神話に登場する7人の姉妹の名前に由来する。肉眼で見ると昴は7+2個程度の星から構成されているように見えるので、7人の姉妹の名前とその両親の名前を付して「プレアデス一家」と呼んだわけだ。

杓のような形をしている昴だが、その柄の部分に相当する2つの星が「両親」に相当する。明るい方が父のアトラス、暗い方が母のプレイオーネ。そしてメインの部分の7つ星に姉妹の名前が与えられている。これをセブンシスターズ(seven sisters)という。ただ、よく見ると8つの星があり、最も暗い2つの星には同じ名前(あるいは似たような名前)が与えられるようで、そのステローペとアステローペはあたかも双子のように寄り添っている。

The Pleiadesとそのseven sisters.
左のリストは星の名前と視等級。

ところで、イギリス南部の海岸に「セブンシスターズ」という白亜の崖がある。これもきっと由来は同じなんだろう。そうえいば、「からす、なぜ鳴くの?」の歌も「可愛い七つの子があるから」であった。7人の「きょうだい」というのは和洋問わず、好まれた人数だったのだろうか?

ラブジョイ彗星の観測

ラブジョイ彗星(C/2013 R1, Lovejoy)の二度目の観測を行った。アイソン彗星に遅れて近日点に到着するらしく、もうすぐ光度が最高となる。近日点到達は今年の12月22日。

前回の観測ではプレセペ星団を目印にして探すことができたが、今回は北斗七星と牛飼座の間という苦手の領域。実は観測を試みるのは今回が3回目で、前回の11月中旬の観測では「こじし座」にあるということだったが、結局発見できずに涙を飲んだ。最初の観測がすんなりといったのは、やはりプレセぺ星団が肉眼で確認できたからであり、「こじし座」がどこにあるかよくわからない状態では手も足も出なかったということだろう。

今回は北斗七星の「柄」の下方にあるはずだが、Sky-and-Telescopeで手に入れた星図にはNov.30ぎりぎりまでしか描かれておらず、時差の関係からして日本の観測ではきっとDec.1の位置に相当する部分を見ないとだめなんだろうと観測しながら思った次第。案の定、彗星の位置同定は困難を極めた。

北斗七星すべてが北東の空に上がったのが2時過ぎ。これでもう彗星はすぐにでもみつかると思ったのだが、思いの外、高度の低い場所に彗星はあったようで、しばらくはなかなか見つからなかった。探していた場所も大間違いで、γ星とλ星を取り違えていたのであった...(γ星の左を探さねばならなかったのだが、γ星が空に浮かんできたのが3時過ぎであった....)いつも痛感するのだが、星座って本当に「でかい」!と、色々あったものの、今回はなんとか彗星の姿を捉えることができた。

月落ち烏鳴いて霜天に満つ....とばかりに、霜で一面真っ白になった草木の上に、冬の星座が神々しく輝ている。その方向とは逆の、東の地平線に昇ってきたばかりのラブジョイ彗星をひたすら撮影する。カメラもCD-1も凍り付き、体の芯も冷えきってしまったところで、本日の観測は終了。

翌日、gimpで7分相当のコンポジット処理を行う。その結果が次の通り.


肉眼でも確認できるか試してみたが、なかなか見つけることができなかった。とはいえ、カメラのファインダーではぼんやり光っている天体がわかったので、いったん位置が判れば簡単に視野に入れることはできた。処理はしてあるものの、前回の観測に比べれば随分尾が伸びているのが確認できる。残念ながら、尾の微細構造までは捉えることはできなかった。もっと空気の澄んだ、光害の少ない所にいかないとだめなのだろうか?

そういえば、この夜はバチバチ夜空が光ってばかりいた。実際、北斗七星の周辺にも、流星がたくさん飛んだ。

海王星の観測

アイソン彗星の消滅がほぼ確定した今夜、みずがめ座の位置に現在ある海王星の観測を行った。ひと月前にも観測してあるので、画像データを重ねて見れば移動の様子がわかるはずだ。

まずは宵の金星を観測したあと、やぎ座の位置を確かめておく。海王星は、やぎ座のγ、δを辿り、水瓶のθに行き着くのが肝心要。θ星の近傍の星3つでつくる「Γ」型の縦棒に沿って下れば海王星に行き着く。が、実際どれが海王星かピンポイントで言い当てるのはかなりむずかしい。そこで、ほぼ同じ条件で30日間隔で2回撮影し、動いた星を見つけるとどの星が海王星かはっきりする。

gimpで10月末と今晩撮った画像を重ね合わせてみたが、移動角度は非常に小さくはっきりしない。怪しいと思われる星を思いっきり拡大してから再度gimpで重ねて見た。すると、移動した星がどれかはっきりした!それが海王星だ。
海王星の移動の様子。
拡大してみるまでわからなかったが、海王星の青い色がなんとなく出てる!

海王星は11月14日に留を向かえたばかりなので動きが遅いのだ。また2週間後に観測してみれば、移動距離は次第に伸びてくるはずで、少しは観測しやすくなるだろう。(2010年に観測した人の記事があったので、どんな風に戻っていくか、なんとなく予測できる。)

一応、拡大する前の広角画像データも貼っておく。これがないと海王星の位置を同定できない...
11月30日と10月27日の画像データを重ねたもの。
ほんのわずかにずれた唯一の星が矢印の星だった。

2013年11月24日日曜日

高高度から見えた金星、それとも水星?

英国に行く途中、ウラルを越えた辺りで北極の方角に明るい星を見つけた。たぶん金星じゃないかと思うが、北極にあまりにも近すぎて「方角」の概念がよくわからなくなり、困惑した。どうなんだろう? いちおう「夕方」だと思うのだが...もしかすると「朝焼け」なのかもしれない。だとすると、あの右横にアイソン彗星があるはずなのだが...とはいえ、土星はみえなかったので、やっぱり金星か?



2013年11月20日水曜日

EOS Mを試す

先ほどの設定を行ってから、EOS Mの性能を試すべく金星の観測をさっそく行った。大型の望遠鏡を出す時間が無かったので、手近のKenko反射望遠鏡(口径11cm)にCelestron Zoom eyepieceを取り付け、そこにD-ring、およびEOS-Mレンズ変換アダプターを介してEOS Mを接続した。

EOS Mの液晶が丁度いい具合にLive view的なモニターとなって撮影は快調に進んだ。実に見やすい!しかし、モニターの映像と実際の画像には差が生じるので、そこは微調整が必要。ビデオ撮影もすることができた。

撮影した写真を拡大し、いろいろ色合いなどを調整したものがこれ。
右上の計算は「つるちゃんのプラネタリウム」より。
大気による「像の揺らぎ」がちょっと大きめな感じ...

色収差がある!反射望遠鏡なのに。これは接眼レンズのせいなんだろうか?まあ、それは仕方ないとして、金星が半月状になっている様子が確認できる。なんとなく、金星の球形の感じも出ているような気がする.大気は結構揺らいでいたが、金星の大きさが随分増してきたので、撮影してもなんとか形を維持できているようだ。

これは木星や土星の観測には使えそうだ。次は星雲や彗星などに試してみよう。とにかく軽いので、望遠鏡につけて観測するにはとても使いやすいと思った。

Canon EOS Mでの撮影

Canonが出したミラーレスカメラ EOS Mを天体撮影に試してみようと思っている。

発売直後はオートフォーカスの反応が鈍く、批判的な批評が多かったようだが、ファームウェアのアップデート(Ver.2.02)が公開されて少しは改善されたようだ。SDカードにファームウェアをダウンロードしてカメラに挿入し、説明書の指示に従えば書き換えできる。実際やってみたが、まあまあの改善。しかし、結局はマニュアルフォーカスで撮影することが多いので、私にとってはあまり重要なことではない。

むしろ大きな問題として立ちはだかったのが、レンズ無しでシャッターが切れない、という問題だ。大型の反射望遠鏡にD-ringをつかってEOS Mを取り付け、金星の撮影を試みたのだが、なんとシャッターが下りないのだ。ピントは合っているのに。

よくよく接続部を観察すると、何やら端子らしき金属がたくさん付いているのがわかった。レンズ側の接続部にも同じ数だけ端子がついている。どうやらこの端子をつかってレンズの有無をチェックしているらしい。レンズがないとシャッターが下りないような設定になっているということだ。

これでは、CelestronのZoom eyepieceを噛ませて、望遠鏡をレンズ代わりにした拡大撮影などが実行できないことになる。前回の観測では苦労してピント合わせした金星の半円形を記録しそこなってしまった。

じつはEOS Mでの撮影にこだわるのは、その重量が軽いからだ。赤道儀に重い一眼レフカメラを取り付けるとバランスがとり難いこともあるし、ネジが弱まった古い赤道儀では、カメラの重量のせいで望遠鏡全体がずるずる動いてしまって天体が視野から外れてしまうのだ。軽いEOS Mならば、なんとかネジで望遠鏡が固定でき、撮影までもっていけるというわけだ。

前回の観測ではあきらめたが、いろいろネットで調べてみると、どうやらこの問題は回避できそうなことが判ったので、さっそく試してみた。まずは、メニューボタンを押し、「カメラ設定の内容」というセクションに行く。ここに「カスタム機能」という欄があるので、それを選択する。このモードの7番のセクションに「レンズ無しレリーズ」というのがあるので、デフォルト0番「しない」から1番「する」に変更する。撮影モードをマニュアル撮影にすると、レンズ無しでもシャッターが切れるようになった!(シーンインテリジェントオートのモードではこの設定変更をしてもシャッターは切れない。)ちなみに、ビデオモードでも記録できるから、惑星観測ならこちらの方が良いのかもしれない。

さて、この設定で今度こそは金星の拡大写真/映像がとれるだろうか?ぜひ試してみたい。(追記:撮ってみた。)

2013年11月18日月曜日

しし座流星群?

18日の深夜、ラブジョイ彗星を狙って満月の光の中で観測をしていた。まずはアルビレオの分解で焦点を合わせようと思い、ハクチョウ座にカメラをしばらく向けていた。すると、パパッと流星が5、6個一斉に流れた。最初のものなどは、北の地平線すれすれに緑がかった透明な金属色を1秒近く輝かせてから、ゆっくりと消えていった。

アルビレオの写真に流星が2つも写っているものがあるので、ここに記録しておこう.夏にふたご座流星群を狙った時はまったく写らなかったのに、こんなに簡単に写るとはかなり明るい流星だったんだろう。しかも今日は満月だ!

iso3200 (4sec), CD-1自動追尾
そういえば、前の晩もしし座をバックに、長ーい流星が真上から地上に向けて、すーっとほぼ垂直に流れ落ちた。赤っぽい流星で、消える際にはチラチラと点滅し燃え尽きる感じが見えた。しし座の広がり程度の長さに渡って流れたと思う。今まで見た中で、もっとも長い見事な流星だった。

あれもこれも、しし座流星群だったと今更ながら気付いた次第。ラブジョイ彗星の撮影が失敗したけれど、いいものを見せてもらった。ありがとう。

満月だから最悪の条件、と下馬評は悪かったのにも関わらず、ものすごい綺麗だった。これからは満月でも馬鹿にしない方がよいと思ったのであった。

アルビレオに焦点を合わせる

このところの観測を通じて、焦点合わせのやり方を覚えたので、アルビレオの観測に適用してみた。以前「分解できなかったのはレンズのせいだ」と結論したのだが、焦点をうまくあわせてみると...ちゃんとEF300mmでもアルビレオの分解はできることが判明。自分の腕の無さを機械のせいにしてしまったことを深く反省。

カメラの望遠レンズでも分解できたアルビレオの二重星
一応、アルビレオの青と赤の対比も記録できている。ただ、口径が小さいため点像のはずが膨らんでしまっている。「これはレンズのせいだ」といえると思う....


2013年11月17日日曜日

木星の固有運動

木星は惑星だから、恒星に対して動いているはずなのだが、肉眼で見てもその「動き」はわからない。そこで、ある程度時間間隔をとって定期的に位置の記録をつけると、惑星の運動は認識できる。実際、古代文明ではそうやって惑星と恒星とを区別した。

とはいえ、惑星の位置を正確に記録するのは案外大変なことだ。肉眼ならなおさらだ。現代ではデジカメとPCを使えば、古代人と同じことをかなり正確に、かつ効率的に行うことが可能だ。その結果はもちろん、古代人はすでに知っていた訳だから、とりわけ新しい発見ということにはなり得ない(むしろ「当たり前」のこと)。しかし、自分の手で「惑星の運動」を感じるのは案外楽しい。

今回は木星の運動を記録してみた。Nov. 12の深夜の位置と、昨晩の位置とを比較している。gimpで比較明合成をした二枚の写真を、回転させて恒星が一致するように重ね合わせている。すると木星の位置だけが「ずれる」ので、その運動が確認できる。

しかし、写真の回転を手作業でやるのは案外大変だった。なんとかうまく自動的に回転角度が割り出せるようにできないものか。

木星の運動の研究(途中経過)

太陽黒点の観測:アイソン彗星観測失敗後の快晴にて

朝4:30に目覚めた。アイソン彗星を観測するなら今朝は勝負だと思った。これでようやく、長く伸びた尾を拝めると期待を胸に外へ出る。おーっ、しし座が見える!と感動したのも束の間、何かがおかしい。

満月に近い月は西の空に傾きボンヤリと光って、「幻想的」な風景が広がっている。幻想的?!よくよく目を凝らしてみると、辺り一面霧に覆われているではないか!それでも星座がよく見えるということは、天空は快晴にもかかわらず、地表面に近いところだけに薄い靄がかかっているということだ。

霧のせいで空が白んでしまい、主な星は見えるものの細かい星空の分布がわからない。ラブジョイも、アイソンも、リニアもまったく位置が掴めない。iso6400で10秒も露出をかけると写真は真っ白になってしまった。バタバタしているうちに夜明けを迎えてしまった。

一寝入りして起きると、真っ青な空な広がっていた...神様に向かって「この野郎」と唾を吐きかけても自分の顔に落ちるばかりである。気持ちを入れ替えて、太陽黒点の観測を久しぶりにやってみることにした。望遠鏡を覗いて見ると、「おおっ!、結構大きいのがあるではないか!」。
生データ。iso200 (1/2000 sec). ND106フィルタ。

まだ回転軸の処理はしてないので、撮りっぱなしのデータ。とにかく、この半年見られなかったような大きな黒点もあるし、黒点数も半年ぶりのレベルだと思う。

南半球に小さな黒点がたくさん見えているので、それを強調するためにgimpで処理してみた。まずは脱色し、コントラストを調整する。小さな黒点がはっきり見えるようになったところで、最後にオレンジ色に彩色した。


gimpで画像処理したもの。
結構面白いことになってきた。しばらくは、黒点観測を続けてみようと思う.

黒点数の数え方に関してはルールがあるんだと思うが、自己流で数えると今日は21個だった。

2013年11月16日土曜日

ガリレオ衛星の観測

彗星観測に備えて、装備の事前点検、そして極軸合わせなどの設定を行った。

最近「焦点を合わせる」ということの意味がようやくわかってきた。まずは肉眼で、できるかぎりピントを合わせる。次に撮影した映像を液晶に表示して、ズームアップする。最大ズームにしても点像が得られるかどうか確認し、そうでなければ勘を働かせながら微妙な調整を行う。再度液晶で焦点確認する。....という繰り返しを行い、焦点を収束させていくのだ。これが意外に時間がかかるので、時間との勝負(あるいは寒さや暑さ、湿気や雲との勝負)の天体観測の場合はあまり丁寧にやることができない。しかし、これを丁寧にやるかやらないかで、得られる写真の品質は雲泥の差になってしまう。

今晩の焦点合わせに利用したのが、木星の衛星(ガリレオ衛星)。衛星がキチンと点像になるまで焦点の微調整を繰り返す。すると、今まで不可能だと思っていた分解能が、焦点距離300mmの望遠レンズでも出せることが判明!驚いた。この晩のガニメデとカリストは、ほぼ重なるような位置にあったのだが、焦点をうまく合わせると見事に分解できた。

4つのガリレオ衛星。左側に二重星が写っていた。
アルビレオのように、赤い星と青い星の連星系のように見える。
(木星は現在ふたご座の中にある。)
これ程の分解能があるならば、木星の衛星観測がもっと気楽にできるではないか!この冬は木星の観測もルーチンに入れてみよう。

月齢13日の霜月の月

11月の満月は18日の月曜日だが、その日が晴れるとは限らないので、いちおう月齢13日ではあるが記録しておくことにする。これは、月の楕円軌道による見かけの大きさの変化を調査するためだ。

月齢13日の月
この晩は彗星観測を予定しているのだが、月の光がこう眩しくては苦戦しそうだ...